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BX1号機の形見

シトロエンBX本日、BXの右前方隅にポールを付けてみました。 この銀色の部分は、BX1号機に付けていたものです。あの時は初めての左ハンドルだったので隅を擦りそうで用心のために付けました。銀メッキしているだけの安価なものです。平成5年の事で、その後何度も引越しをしているのに、よく捨ててなかったと思います。
1号機には思い入れがありました。私にとって“車は馬力より足回りに趣きがある”と教えてくれた偉大な車です。軟体動物の上に乗ったような乗り心地で、そして一定速度でどこまでも走って行きたくなる車でもあり、運転して疲れない又は疲れを癒してくれる車でした。
さて3号機は同じく16TRSなのですが、軟体動物の上に乗る感覚とまで行かず、低速ではハーシュネスを1号機より感じるように思えます。個体差なのか経年劣化から来ているのかタイヤが違うからでしょうか? なお飛ばせば溶けかけたバターの上を滑る快い感覚ですが、エグザンティアの宣伝であった絨毯の上を走る感覚とは違います。そしてBXでよく言われる室内からのギシギシ・ガタガタ音が割と聞こえます。
また3号機はMTなので結果的にエンジンを割と回していると思います。滑空感のある車ですから、上り坂を駆け上がる時は2速で引っ張りますと室内に聞こえてくるエンジン音の高鳴りにプロペラ飛行機が急上昇しているような感覚を覚えます。そして緩い下り坂の直線道路を5速で走る時が一番気持ちが良いです。脚が路面から離れ飛んだ感覚ですから。3号機のリアウンングはGTiのものですが、大変に似合っていると思います。

シトロエンBXは滑空

シトロエンBX  BX16TRSが、今となっては古いながらも80年代の先進性を持って走る際、フワフワのシートとハイドロニューマチィックの足回りで、現在の車にはない柔らかな乗り心地を提供してくれます。

進化した電子制御のハイドラクティブと違い、機械式ハイドロニューマチィックは、路面からの当たりをアナログ制御で一瞬のタイムラグの後にソフトに伝えてくれるのですが、それが緩さ、ヌルさと感じさせてくれます。

マツダがBXを売っていた頃、カタログに「シトロエンはヒューマン」とあり、人に優しいとの説明書きでした。何が人に優しいかとは書いてなかったのですが、当然乗り心地のことでしょう。緩さ、ヌルさも人肌の柔らかさです。この時代までの「シトロエンはヒューマン」だったと思います。

B2C型エンジンは1570ccの直列4 気筒OHCで、シングルキャブレターにより最高出力94/6000rpm 最大トルク97/3200rpmを発生しますが、現在の車からすれば低出力は否めません。おのずとアクセルを踏み込み気味になります。このエンジンはよく回りますからMTを駆使していると活発に運転している気分にさせてくれます。そして高速域を5速で巡航する時、車体の軽さからプロペラの小型飛行機を運転している気になるものです。飛行機の運転経験もないのに可笑しなものですね。

ボルト&ナットで田中むねよし氏が、BXのオーナーだった頃、走行感覚を「滑空」と表現していました。私のBX3号機も4~5速巡航走行時にそれがよく分かります。